叙情的なエレクトロニカからスリリングなビートミュージックまで変幻自在にエレクトロニックサウンドを操る名古屋在住の電子音楽家Yuuya Kunoのソロプロジェクト【House Of Tapes】
2018年3月にPROGRESSIVE FOrMよりリリースした8枚目となるアルバム『Made In Hope』から1年2ヶ月、様々な世界観が1枚に集約された秀逸かつ待望の9thアルバム『Colorful Life』をリリースしたHouse Of Tapesにお話しを伺ってみました!
ーーまずはリリースおめでとうございます!前作『Made In Hope』から1年2ヶ月、今回の『Colorful Life』も全編凝縮されたカッコいい曲が満載ですね。まずはHouse Of Tapesさんの作曲を含む創作への発想の源的なところを教えて下さい。
House Of Tapes(以下、HOT):ありがとうございます。やはり、魅力溢れる音楽を聴いた時には、発想を刺激されます。
小説や文字からインスパイアされることもありますし、創作物全般に触れることが、私の発想の源になっています。
ーー本作『Colorful Life』で聴いて頂きたいポイントを教えて下さい。またトータルのコンセプト的なポイントはありますか?
HOT:まず綺麗なメロディを聴いて頂きたいです。そして、M3 Wonder WordやM8 Emeraldのような不思議な音の連なりも聴きどころです。トータルのコンセプトは『人生には彩りに溢れている』転じて『人生を彩る音楽』です。
ーー本作『Colorful Life』と前作『Made In Hope』での類似点または相違点といったポイントはありますか?
HOT:類似点はアルバムコンセプトです。
前作のテーマ『音楽は生きる希望になりえる』=『希望で作られた音楽』を引き継ぎつつ、より具体的に『人生を彩る出来事』をイメージしました。
ーーM1「Easter」は特徴的なヴォイスにタイトなビートが絡むHouse Of Tapesらしさが存分に感じられるトラックですね、どのようなイメージで制作されたのでしょうか?
HOT:M1「Easter」は『復活祭』という意味で、死んだイエス・キリストの復活を記念・記憶する祭です。
その祝祭感と、死からの復活という出来事を、僕自身の『心の死からの復活』とを重ね合わせたイメージで制作しました。
ーー本作では「Rose」「Clear Sky」「Funeral」といったメロディアスな楽器を用いたダウンビートがとても印象的でした。それぞれの簡単な楽曲解説とイメージを教えて下さい。
HOT:「Rose」薄くディレイをかけたメロディが楽曲の華になっています。「人生に花=恋は欠かせない」それは叶っても叶わなくても…というイメージです。
「Clear Sky」限りなく澄み切った空を見上げれば、2度と会えないあの人も見上げている気がする。繋がっている気がする。という「それは幸せなのか不幸なのか」がイメージの楽曲です。
「Funeral」誰しもが避けて通れない「葬る、葬られる」ということ。人生の彩りを描く上で避けてはいけないと思ったので、この曲を作りました。
ーー今回、kondo tomohiro (HUSH)、nabateä、Super Magic Hats、AKR-FITWという4組のリミキサーが参加されています。各々の簡単な紹介と、リミックスの印象をお聞かせ下さい。
HOT:kondoくんは、主に名古屋で活動するロックバンド「HUSH」のギタリストです。
彼はエレクトロニカも好きで、センスも抜群なので、それが全面に出た、好リミックスです。
nabateäさんは愛知県を拠点とする電子音楽家です。
空間表現や音響感に定評があるのですが、リミックスも浮遊感に満ち、尚且つ質感が重視された良トラックです。
Super Magic Hatsさんはメルボルン在住の音楽家です。僕がリミックスを提供する機会があり、その繋がりで今作でリミックスをしていただきました。楽曲を分解して再構築するリミックスには唸りました。
AKR-FITWさんは仙台在住の電子音楽家で、スマートフォンのみで楽曲制作しています。
スマホのみで作られたと到底思えない、心地よいリミックスです。
ーー楽曲制作に対するアプローチや、楽曲制作で常に意識していることは何ですか?
HOT:楽曲制作に対するアプローチが、このアルバムを作る過程で変化しました。元々カオスな楽曲アレンジが好きなのですが、今までの過剰なカオスがマイルドになり、素直なアレンジ、楽曲表現を重視するようになりました。
楽曲制作で常に意識しているのは、ポップ感です。自分なりのポップさは、やはり自分にしか出せない物だと思いますので。
ーーこれまでに影響を受けたアーティストを教えて下さい。
HOT:影響を受けたアーティストは、
Autechre、Actress、Arca、Aphex Twin、the Books、the Beatles、Bon Iver、Bibio、Caribou、Clark、Copeland、Doves、Dinosaur Jr、Elliott Smith、Editors、Fennesz、Flying Lotus、Four Tet、Glenn Gould、Grapevine、Gonjasufi、Hardfloor、the Hives、I Am Robot And Proud、Iggy Pop、Irakere、J Dilla、John Coltrane、Justice、Jimi Hendrix、Kyte、Kettel、Lullatone、Massive Attack、Mew、My Bloody Valentine、Mogwai、Mum、Nirvana、Number Girl、Nurse With Wound、Oasis、Oval、Pixies 、Portis Head、Plaid、Prefuse 73、Primal Scream、Radiohead、Red Hot Chili Peppers、Richie Hawtin、Sam Cooke、Sigur Ros、the Strokes、Supercar、Syrup16g、the Tuss、Telefon Tel Aviv、Teebs、Ulrich Schnauss、Underworld、Venetian Snares、Vitalic、World’s End Girlfriend、Whitehouse、XTC、the XX、Yo La Tengo などです。
ーー最近のお気に入りのアーティストや作品を教えて下さい。
HOT:最近のお気に入りアーティストはMatt Mitchellで、お気に入りの作品はFlying Lotusの「Flamagra」です。
ーーこれからの音楽シーンについて、特にフィジカル、配信、ライブなど、アーティストの視点でみる今後や将来像的なところを教えて下さい。
HOT:音楽シーンは常に変化しますが、あらゆるフィジカルは音楽フリークに歓迎され続けると思います。
ライブはこれからもアーティストごとのファンが集まるでしょう。
ライトなリスナー獲得には、配信やサブスクリプションが切っても切り離せないと思います。
今後はアーティストとファンの、SNSを中心とした、あらゆる「共有」が鍵になるのではと思っています。
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